その6 折角なのでその他の映画についても(1)

映画鑑賞が趣味であると自覚したことはないのだけれども、地元のレンタルビデオ店で映画を借りひたすら観ていた時期がある(マイナーな作品の在庫が多く今思えばなかなか面白い店だった)。

 

離人症からの回復期の比較的初期の話で、当時四六時中自身の内部を占めていた強度の恐怖感を紛らわすために取った行動であった。もちろん一刻一刻常に恐怖感に責め苛まれている状態なので面白いなどと到底思えない精神状態であり(その癖陰惨なシーンはダイレクトに精神状態に影響するのだ)、しかし恐怖から少しでも気を逸らすには何かをしていなければ気が違いそうなのであった。自分の心(自我)は一体どこへ行ってしまったのか、このまま気が違ってゆくのだろうか、などの恐怖に責め苛まれながらそれらの映画を観た。

 

その中で、すでに紹介した3作のように出演している女性や物語が自分の深いところを揺り動かしたわけではないものの、記憶に残っている作品についても書いておくことにした(つまり通常言われる「好きな映画」。結局そういう流れになる)。先述のような状態で観てはいたものの、不思議と気に入った作品は後々まで覚えていたのである。ちなみに監督や役者についてはほとんど知識がない。順不同。

 

1.Birdyアラン・パーカー監督

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ポスターが美しい。あらすじなどを紹介するのは面倒なので他のblogをリンクさせて頂く。

www.kishimamovie.com

 

上記blogには「重いストーリー」とあるが、人を食ったようなラストシーンは秀逸。しばしば流れる陽気な「ラ・バンバ」もいい。

 

               ★   

 

2.髪結いの亭主パトリス・ルコント監督

atmatome.jp

Toto The Hero」を日比谷シャンテシネに2回、高田馬場へ1回観に行ったと先述したが高田馬場で観たのはこちらだったかも知れない(いずれにせよ「Toto The Hero」は劇場で4回は観た筈。この作品も劇場で観たのは確かで、レンタルで観た作品ではない)。自分にとってはひどく珍奇な物語に思えるのだけれども、なぜか忘れられない作品なのだった。

www.youtube.com

 

主演のジャン・ロシュフォール Jean Rochefort、この人の顔がまたいい。当時も妻役の女優よりも、こちらの顔に惹かれるものがあった。ただしこの一見柔和に見える表情の意味が分かってくると、なかなか怖いものがある。

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Mchael Nymanによる美しい主題曲も作品の印象にかなりの影響を与えていると思う。

www.youtube.com

自分の好きな楽曲中でも上位に入る曲。離人症を発症して間もない頃は何かとてつもなく禍々しいところへ落とし込まれたような感覚と共に、希にだが別の機会には俗世を超絶した愉悦の感覚に満たされることもあった(これらの感覚については後に書く)。後者はNymannのこの曲がしばしばそのスイッチになっていたのだが、今聴いてもその感覚の一端を思い出すことができる。

 

               ★

 

ところでこの2作品はどちらも心を病んでしまった人、そして願望が現実から遊離してしまった人の物語であることに今気がついた。